ロボカップレスキューシミュレーションは地震災害とその際の救助活動を再現するシミュレーションである1.シミュレーションでは,地震による建物の倒壊や,がれきによる道路網の寸断といったの災害が表現される.さらに,市民の負傷や,救助部隊による救助活動,避難所へ向かう市民の行動なども表現される.

ロボカップレスキューシミュレーションは市民および救助部隊をエージェントとするマルチエージェントシミュレーションである.救助部隊には,役割の異なる消防隊,救急隊,土木隊の3種類が存在する.

消防隊(fire brigade)は建物の下敷きとなり,埋没している市民を掘り起こす役割を持つ救助部隊である.地震発生時,建物内にいた市民は倒壊により下敷きになる場合がある.生き埋めとなった市民は,時間経過とともに体力が低下するため,市民の生存には,早期の掘り起こしが必要となる.

救急隊(ambulance team)は消防隊により掘り起こされた市民を避難所へと搬送する役割を持つ救助部隊である.がれきから掘り起こされた市民は,埋没状態を脱するものの,負傷により体力は継続的に低下する.避難所には病床があり,市民をそこへ搬入することで,体力の低下を止めることが可能である.

土木隊(police force)はがれきを撤去し,道路を通行可能にする役割を持つ救助部隊である.地震により建物が倒壊すると,そのがれきが周囲の道路へ飛散する.これにより,周囲の道路は通行不可能となる場合がある.道路が通行不可能になると,消防隊や救急隊が負傷した市民のもとへ向かうことが困難となる.したがって,多くの市民を救出するためには,早期の通行確保が不可欠である.

Footnotes

  1. ロボカップ日本委員会,レスキューシミュレーションリーグ,URL: https://www.robocup.or.jp/robocup-rescue/simulation/